式の中に、出どころを説明できない数字が残っていた
AIに説明を求めても、変更判断に使える出典には届かなかった
薬品濃度の分析結果から、補給量を求める計算式がありました。
式も計算方法も残っています。数字を入れれば、これまでどおり補給量を計算できます。ただ、その式の中にある一つの数字だけは、どこから来たのか分かりませんでした。
定数と思われる数字でした。けれど、引用元も、作成者がどのような考えで採用したのかも、記録には残っていません。作成者に聞くことも、すでにできない状態でした。
計算はできる。でも、この数字を変えてよいのかは誰にも決められない。
第1部 式は残っている。数字の理由だけがいない
計算式の中に数字が書かれていると、それだけで少し正しそうに見えます。しかも、その式を使えば、計算結果は数字で出ます。
困るのは、見直そうとしたときでした。
「なぜ、この数字なんだろう」
式を見ても、答えてはくれません。計算方法を読んでも、どこから引用した数字なのかは出てきません。数字だけが、理由を名乗らないまま式の中に座っていました。
作った人に聞ければ早かった。けれど、もう確認できない。変える根拠がないので、計算方法はそのまま使われ続けていました。
計算式と定数について、AIにも説明を求めてみました。返ってきた説明を読んでも、どうもしっくりきません。式の中でその数字がどう効いているかは分かる。でも、誰が決めた数字なのかまでは出てきませんでした。
計算式は動いているのに、見直しの話だけがそこで止まる。
第2部 説明ではなく、出どころへ戻る
その後、薬品メーカーへ聞き取りをしました。
定数の出どころは、メーカーの説明で分かりました。薬品を買った人が補給量を計算するときに使うため、メーカーが提供している数字です。私が確認できるWebページには載っていませんでした。
出どころと用途が確認できた。その上で、定数も計算式も変更せず、これまでどおり使うことにしました。
AIの回答が間違いだったと分かったわけではありません。ただ、数字を変えてよいか判断できる出典までは確認できなかった。それだけです。
式の形からその数字の働きを説明することと、誰が何のために提供した数字かを確かめることは、似ているようで役割が違います。
判断に必要だったのは、説明を増やすことではありませんでした。数字の提供元へ戻ること。確認できたからこそ、変えずに使うと決められました。
あなたの現場で長く使われている数字や基準には、見直すときに戻れる出典が残っていますか。




